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【ちょっと通になれる、北欧小話】No.3:北欧に学ぶ、コーヒーとひと休みの文化
夏本番、そして夏休みも本番! 皆さん、いかがお過ごしでしょうか。
夏休みやお盆休みなど、様々なお休みがあるこの季節。アクティブに過ごす方、涼しいお部屋でまったりという方、それぞれの過ごし方をされると思います。
今回はそんな休み方に関連して、北欧の”ひと休み”の文化についてご紹介して参ります。
休憩に文化があるの?と思われるかもしれませんが、夏休みだけでなく、日々の休み方にも結びつくような、面白い文化ですよ。
スウェーデン流のひと休み「Fika(フィーカ)」
スウェーデンの人々は、コーヒーが大好き。世界のコーヒー消費量ランキングでも、常にトップクラスに入っている程のコーヒー大国です。
お気に入りのマグにコーヒーを入れて、そして余裕があるときは甘いお菓子やサンドウィッチを用意して。そんな心休まるひと時のことを、スウェーデン語で「Fika(フィーカ)」と言います。
私たち日本人は、ちょっと休憩したいなというときにコーヒーブレイクをすることがほとんどだと思いますが、スウェーデンの人々にとってはもはや生活の一部。 「Fika」という言葉がわざわざ生まれるほど、大人から子どもまで、無くてはならない時間として捉えられています。
元々は1930年代に始まった「カフェレープ」という、子どもや夫たちがいない間にする、女性たちだけのお茶会が由来だとされています。働く女性が増えていくとカフェレープの文化は薄れていきましたが、その存在はFikaとして、今もスウェーデンの人々の中に根付いています。
ちなみにFikaの語源は、スウェーデン語でコーヒーを意味する「Kaffe」だといわれていますよ。
素敵なひと時を共有するということ
スウェーデンの人々にとってFika(フィーカ)は、単なるコーヒーブレイクという意味だけに収まりません。
昨日見たテレビのこととか、今日食べた朝食のこととか、今度旅行に行くこと。そんな他愛もないおしゃべりをたくさんします。そう、Fikaは彼らにとって、コミュニケーション法の一つでもあります。
嗜好品としての楽しみはもちろんですが、それ以上に、ほっと一息の時間を経験、共有することを大切にした文化なのですね。もちろん、一人の時間も立派なFikaですよ!
Fikaは、学校や職場でも当たり前のように行われています。一日に何度もFikaをする人もいますが、仕事場などでは大体朝10時と午後3時に15分程度する人が多いそう。Fikaの時間をとらないと、叱られることもあるんですって。
忙しい日もそうでない日も、Fikaをすることは彼らにとって当たり前。北欧諸国の幸福度が高いのは、こうしたゆとり時間がメンタリティの一部として強く根付いていることも大きいように感じます。
フィンランド流のひと休み「Kahvitauko(カハヴィタウコ)」
「Kahvitauko(カハヴィタウコ)」は、「Kahvi(コーヒー)」と「Tauko(休憩)」の二つを組み合わせた、コーヒーブレイクの合言葉。Fika(フィーカ)のフィンランド版ともいえる単語です。
Fikaは生活習慣として暗黙の了解的な文化でしたが、フィンランドのカハヴィタウコはそれだけに留まらず、なんと労働法で定められたルールでもあるんです。労働時間によって、何回コーヒーブレイクをとること、ときちんと決められているというのだから驚き!
意味合いとしてはFikaとほぼ同じ。法律で定められているだけあって、オフィスの中でも常に温かいコーヒーが用意されていたりと、企業側からも積極的にKahvitaukoを楽しむことを推奨されています。
デンマーク流の心のありかた「Hygge(ヒュッゲ)」
Fika(フィーカ)やKahvitauko(カハヴィタウコ)とは少し意味合いが違うのですが、デンマークにも似たような言葉があります。
デンマークの言葉「Hygge(ヒュッゲ)」は、これ!と訳せる日本語がないのですが、あえて言うならば「人とふれあいのある、居心地のよい場所や時間」という意味の言葉。
例えば、家族みんなで料理を作っておしゃべりをしながら食べること。気の合う友達と大好きな音楽を聴き合うこと。晴れの日に、お気に入りの服を着て散歩すること。
デンマークでは、そんな心温まるかけがえのないひと時を、広くHyggeと呼んで互いに尊重しあいます。
そしてデンマークも世界的なコーヒー大国ですから、コーヒーブレイクはHyggeを感じられるシーンとして基本中の基本。スウェーデンやフィンランドと同じく、とても日常的に行い、大切にしています。
北欧の人々の根底に流れる、ゆるやかで柔らかい時間の流れ。それは、Fika(フィーカ)やHygge(ヒュッゲ)などの、ひと休みの時間をとても大切にしているところから来ているように思います。
決して、よく働くことや富を得ることを軽視しているわけではなく、それもとても重要なことだけれど、それ以上に大切な人との時間を強く求める北欧の人々。そして、それが叶う文化であることが、ちょっぴりうらやましくも感じられました。
皆さんは、どんな感想をもたれたでしょうか?
Hyggeが2016年のイギリスの流行語に選ばれたり、アメリカの辞書に載ったりと、世界でも広がりを見せている、北欧のひと休み文化。
皆さんもこの夏休み、お気に入りのインテリアの中で、とっておきのコーヒーを入れて、レッツFikaといきませんか?